アカルイアス社ロゴ

あざばぶ総合病院

自然都市
未来都市のデザイン
未来電車

プロローグ

ジョージ・クライが倒されて時間の流れが動き出したのは2019年の世界だけではない。ハリーやはぐたんの故郷である未来世界でも時間は動き出していた。
つまり、「未来から来た者たち」があるべき場所へ帰る時がやってきたのだ。プリキュアチームは今日限りで解散するという意味でもある。
かつて、ジョージは「この世界の滅びは運命づけられている」と予言していた。プリキュアがいなくなった後、この世界はどうなるのだろうか?
否、その心配はない。必要な時が来れば彼らは必ず現れるだろう。あの時多くの人々がプリキュアに覚醒できたように。そして、まだ見ぬ新しい戦士の登場があったように。
そして、希望に満ちた未来を勝ち取ったはなたちは、はぐたん達との辛い別れを乗り越えて前へと進んでいく。

……はぐたん達との別離から11年後、西暦2030年。
「はぐくみ市」には、「ある少女」が願い続けた「夢と希望に満ち溢れ、花咲き乱れる理想の楽園」などが作られることはなかった。
代わりにそこにあったのは、よくも悪くも当たり前に存在し人々の活躍で少しだけ科学技術が発展した普遍的な世界だった。
クライアス社が作られていたハリー達の住む未来世界とは、歴史の流れが大きく分岐したのである。
なぜなら、「ある少女」はプリキュアとして1年間の物語を通じて「理想の世界」を願ったのでなく、どんな時も人々が「理想の自分」を信じることができる可能性を願い続けるように努めたのだから。

はなは25歳の若さで「アカルイアス社」の社長に就任し、社員たちの可能性を信じつつ多くの事業に邁進中。
ところが、秘書のふみとに警告されていた通り臨月でありながら仕事していたため突然陣痛が始まり、さあやが勤める「はぐくみ市あざばぶ総合病院」に搬送される。
世界大会で優勝直後知らせを受けたほまれ、遅れて両親と花束を持った夫も病院を目指して街を駆ける……。

一方その頃、とある研究所ではミュージシャンとして多忙な日々を送っていたえみるは研究者に呼ばれ、心と体を成長させるアンドロイド・ルールーを紹介される。
2人は面識のないはずだが、ひとたび『キミとともだち』を合唱すればもう友達。凸凹コンビの親友は世界線を超えて新たな友情を紡いでいく。

はながさあやとほまれの応援を受けて産みの苦しみに苛む中、はぐくみ市の人々は各々夢と希望に満ち溢れ輝かしい姿を見せている。
そんな中、キュアトゥモローが遠い未来世界ののびのびタワーでハリーと共に佇んでいた。
トゥモローは何かに気づいたかのように空を仰ぎ、「ママ…」と呟く。
すると、どこか遠くから赤ん坊の泣き声が聞こえた。

はなは一人の女児を無事出産した。その子は、はぐたんと瓜二つの顔をしていた。
「ずっと前から決めていた名前がある」と、その赤ん坊は「はぐみ」と名付けられる。

「よろしくね、はぐたん」
こうして本当の「家族」となった「はな」と「はぐたん」は、輝く未来を抱きしめて新しい人生を歩んでいく………。