1998年に発行された尾田が連載デビュー作である『ONE PIECE』よりも前に描かれた作品が収録されている。
なお、『ROMANCE DAWN(SS版)』についても記述。
1992年下期手塚賞準入選受賞作。尾田の高校時代の作品。
行く先々で賞金稼ぎから命をつけ狙われるガンマン「ギル・バスター」が類い稀な銃センスと才略で苦難を乗り越えて行く「西部劇」を題材にして画かれた短編漫画。
主人公。類い希な銃センスを持つ懸賞金9億7千万のガンマン。
実際には全て正当防衛で沢山の人間を殺めてきたお尋ね者。霊感が強いため、幽霊のワイルド・ジョーを見ることができる。
自称「最強の賞金稼ぎ」。懸賞金200万ベリー。
ギル・バスターに懸けられた莫大な賞金を狙って勝負を挑むも、ギルのだまし討ちによりあっけなく敗死。
しかし、無念のあまり幽霊となってギル・バスターに憑きまとっている。一応有名だったのか、シノ・フェニックスも名を知っていた。
懸賞金100万のワイルド・ジョーも恐れるほど凄腕なガンマン。
元々非合法の殺し屋稼業で「殺し屋の中の殺し屋」の異名を持つ。現在はギル・バスター討伐のため相反している警察に雇われている。
手配書のみ登場。懸賞金120万ベリー。
『月刊少年ジャンプオリジナル』1993年10月号掲載。尾田が大学在学中に描いた作品。
主人公のスリ・ブランは、盗人稼業から足を洗おうと心に決めたものの、結局懲りずにスリを続けていた。
「運命のペン」で人間の運命を書き綴っている天界の神様はそんな彼の姿にあきれ果て、天罰を加えようとする。
だが神様は、「ブラン家(ブランち)に隕石が落ちる」と運命を書き換えようとしたところを、誤って「ブランチに隕石が落ちる」としてしまった。
そうして神様は「ブランチにいる人々を隕石の危機から救ったらブランへの天罰を無しにする」と彼本人に持ち掛けるが…。
主人公。盗人稼業から足を洗おうとは思っているものの、長年の習慣からか結局スリを続けていた。
そんな時、自らを「神様」と名乗る男から突然自らの運命が書かれた手帳を手渡され、「百貨店ブランチに落ちる隕石の危機を救え」と無理難題を吹っ掛けられてしまう。
天界で人間の様子を見つめながら「運命のペン」で人間の運命を書き綴っている。
そんな折、目に留まったのがブラン。改心しようと心掛けながらもついつい悪事を働く彼の姿に立腹し、天罰を下さんと運命を書き換えようとする。
なお、「運命のペン」で書いた内容を「運命の消しゴム」で修正できるが、その消しゴム自体を紛失してしまっている。
ガラの悪い天使。神様に「ブラン家」と「ブランチ」の書き間違いを指摘した。
ブランから「自分の店に隕石が落ちる」と警告を受けた。
箸にも棒にも掛けぬとばかりに警告を無視したため、ブランに百貨店を乗っ取られた。
母親と一緒にブランチに買い物に来ていた男の子。
ブランのブランチ乗っ取り騒動の際、母親とはぐれてブランチに置き去りにされ隕石の脅威にさらされてしまう。
『週刊少年ジャンプ』1994年Spring Special掲載。第104回ホップ☆ステップ賞入選作。
坊主・愚公は失踪した師匠・恒心を探すため、当て所ない旅を続けていた。
彼は旅の途中立ち寄った集落で人々を脅かす化け物「人食い」の退治を頼まれ、否応なしに引き受けさせられてしまう。
主人公。失踪した師匠の恒心を探して旅を続けている。
古寺で仮面をかぶって人を脅かし、人食いから守ろうとしていた守り神。
森に住む化け物。愚公の師匠である恒心を食い殺し、着物を掌握していた。
愚公が守り神から借りた刀によって両断される。懸賞金150万ベリー。
『週刊少年ジャンプ』1994年Autumn Special掲載。
尾田が甲斐谷忍の元でアシスタントを終え、徳弘正也の元で『ジャングルの王者ターちゃん』のアシスタントを務めていた頃の作品。
タイトルは「ドリフターズやサザンオールスターズのような『ターズ』と言うタイトルをつけたい」と考えた尾田が「竜や怪物級に強い奴が出てくるから」と無理矢理つけたもの。
最強の剣豪「キング」との戦いを夢見る侍・リューマは放浪の末、瀕死の状態でフレアという女性に助けられ、竜(ドラゴン)の襲撃事件に巻き込まれる。
リューマは「一流剣士シラノ」と「三流剣士ディーアール」が町を壊滅させるために竜を呼んで火事場泥棒を繰り返していた事を知る。
リューマは口封じをしようとしたシラノを一瞬で返り討ちにし、更にディーアールの命乞いも聞き入れずに倒す。そして、襲い来る竜を一刀両断して町を去る。
本人は気づいていないが、剣豪「キング」とは「リューマ・ド・“キング”」の名を付けられたリューマ本人であった。
「兵の魂(つわもののこころ)」を重んじる侍。
7年前の「大奇襲」の、唯一の生き残りのウェイトレス。シラノを恩人として慕っている。
7年前の「大奇襲」からフレアを救い出した「キング」にも劣らないと評される剣豪。
実はディーアールと共謀する極悪人であり、事件の黒幕の一人。
また、10年前に自分の騎士団の部下を全員皆殺しにして「竜の角笛」を奪っていた。
三流剣士。シラノとはグル。
7年前の「大奇襲」で竜を呼び寄せ町を焼き払い金品を奪った火事場泥棒で、「竜の角笛」を吹きこなすことができる。懸賞金180万ベリー。
フレアのレストランの主人で、リューマに「大奇襲」について話した。
7年前、山の小さな町を襲う「大奇襲」を起こした人々の恐怖の対象。「竜の角笛」によって操られる。
尾田の代表作『ONE PIECE』のプロトタイプ。
『WANTED!』収録作(以下「WJ版」)と、『ONE PIECE RED』収録作(以下「SS版」)の2つがある。
いずれも本家とは設定が若干異なっており、世界設定を共有してはいないものの主人公・ルフィが「特殊な能力を得られる木の実を食べてゴム人間となっている」という設定は既に固まっている。
また、両作における海賊は無法に略奪する海賊「モーガニア」とモーガニアをカモにして冒険を続ける海賊「ピースメイン」の2種類が存在している。
『週刊少年ジャンプ』1996年Summer Special掲載。
単行本のページ数の都合と、本家との共通点が多いことから『WANTED!』への収録が見送られ、後に『ONE PIECE RED』に収録された。
食料の買出し中漂流してしまったルフィは通りかかった三日月のギャリーの海賊団を軽く倒し、ある町で「町を宝物」と称す少女・シルクと出会う。
復活したギャリーはルフィに返り討ちにあうが、ルフィが町人の勘違いで捕まった際に町を脅しシルクの抵抗も空しくルフィが海に落ちた間に邪知暴虐の限りを尽くす。
その後、ルフィは合流した仲間と共にギャリーをフルボッコにした。
「ピースメイン」として旅をしている海賊。
本作では自分の村を拠点としていたピースメイン・赤髪のシャンクスに憧れ、旅に連れて行って貰うよう懇願していた。
ある時「ゴムゴムの実」を食べてカナヅチとなり、海にボートで出て鮫に襲われたところをシャンクスに救われる。
その後シャンクスから麦わら帽子を貰い、海賊となって返しに来るよう約束する。
村を旅立つ前に魔性の木の実「ゴムゴムの実」により万年カナヅチと引き換えに「全身ゴム人間」となった。
どちらの作品でも小舟で旅しているが、本作では船に「快速メルヘン号」と名前を付けており、カモにした相手の海賊旗を帆にしている。
赤ん坊の頃に町を襲った海賊によって置き去りにされ、その町の人々に育てられた少女。
本作の敵であるモーガニア。異名は「三日月のギャリー」。
船を訪ねて来たルフィに「変なヒゲ」と言われて激怒するが、逆に全員拘束された。
その直後着いたシルク達の町でルフィが町民達からギャリーと間違われて拘束されたのに乗じて拘束を解き、町から略奪した上にルフィの麦わら帽子を踏みつけ海に放り込む。
だが、シルクに助けられたルフィに追いつかれ「宝を踏みつけられた」という仕返しに船を沈められる(ルフィによって積荷の大半はシルクの町に贈られた)。
ルフィの住む村を拠点に活動していたピースメインの海賊で、ルフィの憧れの人物。
ある日、ボートで海に出たルフィが鮫に襲われた際に片腕を犠牲にルフィを救う。その後、村を去る際に麦わら帽子をルフィに託す。
その後のシャンクス達の消息は描かれてはいないが、シルクはシャンクスを知っており「有名よ」「悪い噂は聞かないわ」とルフィに話すシーンがある。
『週刊少年ジャンプ(WJ)』1996年41号掲載。『WANTED!』に収録。尾田が『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』のアシスタントをしていた時期に描かれた作品。
『WJ』本誌に掲載されることから後の連載時のインパクトを意識し、「SS版」で完成していたルフィとシャンクスとの麦わら帽子のエピソードを変更して描かれた作品。
なお、2019年10月20日に『ONE PIECE』アニメ化20周年を祝してアニメ化された。
本作では麦わら帽子は「ピースメイン」である祖父から貰ったものと設定されている。
幼少期、祖父の前では海賊になることを拒む姿勢を見せていたが、本当は海賊になりたいと思っていた。
住んでいた村がシュピールに襲われ、怪鳥のバルーンと共にさらわれた少女。
アンの相棒で、血は妖力が宿るとされる「怪鳥(ルク)」最後の一羽。
本作の敵であるモーガニア。異名は「六角のシュピール」。
炎や爆発、物体(巨大ハンマー)の呼び寄せ、箒での飛行といった妖術を使う(あまり名は知られていないが、町一つ焼き払う威力があり部下からも恐れられている)。
ルクの血で妖力を高めようとバルーンを狙い、逃げないようにアンをさらった。
邪魔するルフィを仲間と船ごと沈め自分だけ逃げようとしたが、ルフィにボコられる。
「ジャンプ・スーパー・アニメツアー'98」において上映された『ONE PIECE』初のアニメ作品。
遭難して海を漂流中のルフィ一行は、砲弾や首長竜の襲来で散り散りになる。
その後、ルフィとゾロが辿り着いたのは、海賊ギャンザックが支配する島だった。
そこでギャンザックに父をさらわれた少女・メダカと知り合いになり、彼女と共にギャンザックがいる悪魔の塔へ向かう。
ギャンザックの搦め手で一度敗北するが、ナミに助けられた後は再び対峙する。
戦う動機が「食べ物の為」「シャンクスの帽子を踏みにじられた為」と自分本位なのだが、同時に勇敢な人間に対しての想いもしっかり持ち合わせている。
「海賊狩りのゾロ」の異名を持つ賞金稼ぎ。
ルフィやメダカが好き勝手動くことに苦労しながらも、多人数相手に格の違いを見せつける。
島の住民を人質に取られ一度投降するが、ナミに助けられた後はギャンザックの船で海賊達を相手に圧倒する。
首長竜に連れ去られた後はギャンザックに取り入り裏切っている。
尤も、ギャンザックが持つ宝を奪う作戦でありギャンザックがいなくなった隙にルフィ達を助けている。
ギャンザック海賊団船長。通称海賊将軍。海賊旗はカニをモチーフにしたドクロマーク。
メダカが住む島を襲来し、年寄りと子供を残してメダカの父を始めとした島民達を連れ去り強制労働させている。
「悪魔の塔」と呼ばれる場所を拠点に首長竜を操り、島を支配している。
本人曰く「普通の海賊とは違う」との事で口癖にもなっている。
その理由は普通の海賊は富を奪うものだが、彼自身は富を育ててから奪うものだと話している。
カニのような腕を付けた鎧を身に着け、爪と他の蟹手から銃弾・粘着弾・鎖を出す。
しかし、その割にはカニ扱いされるのが嫌なようでカニ呼ばわりされると逆ギレする。
実はこの島を拠点にしていたのは自身の戦艦を建造していたからであり、悪魔の塔の正体は戦艦の巨大大砲だった。
ルフィ達が漂着した島に住んでいる少女。
自分にとって宝だと表している父親がギャンザックに連れて行かれ、強制労働させられていることから海賊を嫌っており、ギャンザックの海賊達相手でも果敢に立ち向かう。
ルフィ達が海賊だと知ると彼らに対しても嫌悪感を抱くが、最終的に和解。
メダカの父。
ギャンザックの部下達に「逆らえば子供達を海に叩き込む」と脅され、強制労働させられることを甘んじて受け入れている。
だが、後に島民と共に反乱を決起。
メダカの祖父。メダカの父代わりで、海賊達に立ち向かおうとするメダカを心配している。