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ウルトラファイト

ウルトラファイト

ナレーターがウルトラセブンや怪獣たちがボコボコ殴り合っている様子を延々と実況する(アドリブ)5分間の超低予算番組。
野外プロレス同然の泥試合を延々とウルトラ戦士や怪獣が繰り広げる中で明らかに誇張されたタイトルや、飄々としたとしたBGM、突っ込みどころのある実況など、どことなくカオス
元々は第1次ウルトラブームが終焉を向かえ迷走を始めた円谷プロが以降の経営難期のお得意となる『再編集番組』として製作した。
それまでの作品の格闘シーンは意外に尺が短く、5分間の再編集番組にさえ使えないレベルであった。
結局それでも断固として「限りなく予算ゼロを目指す」という姿勢を変えたくなかった円谷プロは「使い終わった着ぐるみで生田・多摩の荒れた造成地で巨大感も特撮効果も何も考えずに殴り合いさせる」というぶっ飛んだ制作方法に打って出た。
しかし、事前の予想に反して本作は当時の子供たちのハートを再び鷲づかみにし、下火になっていた特撮番組を復活させるきっかけとなった。

戦闘は当初こそガチの殴り合いという感じだったが、回が進むにつれて段々コメディタッチになっていく。
登場する怪獣たちも掘り出し物や何気ない拾い物の争奪戦を繰り広げたり、プレゼントを贈られるも「食べられない」という理由だけでキレて殴りかかったり、挙句銃や斧などの武器を持って戦ったりと何でもありに。

サブタイトルはスポーツ新聞のプロレス欄見出しをヒントにつけたらしいが、後半になるとスタッフがネタで作ったような(「怪獣ゲバゲバ地帯」「決闘ハレンチ星団」「やくざ番付」など)意味不明なものになっていった。
ただ、そうした痛快なエピソードに交じって「怪獣死体置場(モルグ)」や「怪獣残酷物語」のような暗い雰囲気の話、「怪獣餓鬼道」のようなちょっぴり切ない(?)話もある。

ウルトラセブン

怪獣たちの激闘が繰り広げられている「怪獣島」で、泥まみれの死闘を演じている正義の味方。好戦的な怪獣共が我が物顔でのさばる怪獣島の最強(?)ヒーロー。
飛行能力はあるが光線技は一切使わず「宇宙陰陽の構え」という謎の構えを取ったり、ワイドショットの構えで怪電波を撃ったりする。
本作は低予算で作られているので、光線技は全く使えず(火ぐらいなら出せる)、格闘技で戦う。
一応主人公な為かなり強く、「三角切り」「マキシ斬り」「二天流」など技も豊富で一度しか負けていない。
基本的には正義の味方として、怪獣同士の喧嘩を仲裁することもしばしば(ただし大抵の場合は失敗し、セブンが2体ともぶちのめす)。登場しない回もある。
しかし、乱暴者ばかりの怪獣島で心が荒んでしまったのか徐々に素行が悪くなり、修行する怪獣を嘲笑ったり、喧嘩を止めもせずに片方がやられたのを見届けてから疲労困憊のもう片方を闇討ちしたりとやりたい放題していく。 その一方で意外と潔く、エレキングの昼寝を邪魔してしまった際には素直に謝罪し、のされた後も謝罪していた。
性格は主に単純明快な正義漢であるものの、怪獣同士の乱闘を傍観してからかったり、喧嘩の仲裁に入るが失敗し自分が勝利したり、必死で戦っている怪獣に対して挑発したり、死んだふりで油断している隙に相手を倒したりする。
基本的に脚本などなく大抵アドリブで戦う番組なので、セブンのスーツアクターが怪獣のスーツアクターと喧嘩を起こしそのまま放送されたという逸話がある。

アギラ

セブンの子分だが、相変わらず実況にも「弱い」と言い切られてしまうほどとても弱く、大抵セブンに助けられている。
他の怪獣とは仲が悪く、よく争いに発展しており「手裏剣投げ」の修行に励むゴドラを馬鹿にして返り討ちにされる。
彼の窮地に駆けつけることが多いが、「セブンの一の子分」を標榜する割には非常に弱くいつも返り討ちにされる。
全戦全敗(セブンが加勢して勝ったことはある)でイカルスに敗れて以降登場しなくなった。ウーとはライバル関係。

イカルス

「暴れん坊イカルス」の異名を持つストイックな性格で、よく修行している。修行の結果「殺法破れ傘」や「三段拳法」などの必殺技を編み出す。
ちなみにクリスチャンだったり何を血迷ったのかエレキングと付き合ったりしていた。スタミナに定評があり、俊敏で重いパンチを放つ。
また、ウーの彼氏だったと思ったらエレキングの彼女になっていたり、「本当に強い男は素手で戦う」と素手での戦いを主張して武器の使用には否定的な姿勢を見せるが、別の回ではライフル魔になっていたりする。ウーの宿命のライバルとも言える存在で、「逆転こそ我が命」を自らの信条とする。
喧嘩好きだが努力家で、ある時女性になってエレキングと交際し、貰ったプレゼントの花束を「食べられないから」という理由だけで投げ捨てて逆上する、乱闘の末に叩きのめすが後日魚を貰って機嫌を直す。クリスチャンで、仏教徒のゴーロンとセブンの葬儀方法を巡って乱闘する。

ウー

誰彼構わず襲い掛かる「喧嘩屋」の異名を持つほどの乱暴者で、エピソードによっては女性扱いされる事もある。
毛むくじゃらの顔には鬼神のような表情が隠れている。スタミナ豊富でパワーがあるが、隙が多い。必殺技は「歯車くずし」。
好戦的で奇襲攻撃などを仕掛けるが、時には髪に花を飾る愛らしさを見せ、またある時はひたすらリンゴを貪るキーラーの姿を目の当たりにして言い知れぬ悲しみを覚え、自らも泣きながらリンゴを齧る。 キーラーとは何かと縁があるようで、互いに雪山でゴーゴーダンスを踊る、盲目の両者が土手の通行で揉める一幕もある。

エレキング

いつも昼寝ばかりしているのんびり屋で、好戦的で喧嘩好き。寝起きの機嫌が悪く、セブンでも逆らえない。
作中では大抵昼寝をしており、戦いのきっかけも「昼寝の邪魔をされたから」という理由がほとんどである。
セブンに叩き起こされた時は潔く謝罪の意を示す無抵抗のセブンを叩きのめし勝ち星を挙げた唯一の怪獣でもある。
イカルスのために花束を持って日参する細やかさも見せるが、花束を「食べられないから」という理由で好意は無下にされ乱闘の末に散々叩きのめされた後日魚を贈る。
また、戦いの際に手にしたライフル銃が暴発して自滅した。

バルタン

卑怯な手段をよく使うセブンのライバル。
セブンと引き分けたりとなかなかの実力者ながら相手を待ち構えて背後から攻撃したり、味方と思わせて不意打ちを喰らわせるなど卑怯な戦法を好む性質だが、体力がないため返り討ちに遭うことが多い。 最終回では怪獣軍団と共にセブンを強襲するが、その際ハサミではなく五本指の手で木刀を握っていた。
一応、分身の術が使える宇宙忍者で、戦闘ではバルタン忍法で相手を幻惑するうえ飛行能力も持っている。一度セブンの「三角切り」で両腕と頭を切断された。

テレスドン

体重が非常に重い怪獣で、打たれ強いが鈍重でスタミナに欠ける。実質的に勝利した事はなかった。

ガッツ

頭脳戦を得意で格闘戦が苦手。大きな頭が特徴だが、常にぐらついており戦闘には不向き。ただし、岩が直撃しても平気なほど頑丈らしい。
エレキングとの戦いでセブンに助けられるが、そのセブンの背後を襲ったりする。クチバシを用いた攻撃や蹴り技、岩石投げ攻撃といった戦法を持つ。

ゴドラ

バルタンと同じく「忍者」と呼ばれる宇宙人で、超能力や相手の動きを封じる「忍法宇宙縛り」、金縛りの術、姿を隠す術を駆使する。
常に特訓して技の開発に余念がない努力家で、ボクシングの心得もありウーを仕留めている。初陣ではセブンに腕をもぎ取られて敗退した。

ケロニヤ(ケロニア)

全体的に強さが安定しない。「飛行機投げ」という投げ技を得意とするが、自らもよく崖から投げ落とされている。敵に対しておびえるなど、やや弱気で口数が少ない。

シーボーズ

気性が荒く暴れん坊で、無責任でそそっかしい一方誰にでも突っかかっていく好戦的で粗暴な面倒くさいタイプ。海辺で戦っていることが多い。
喧嘩好きで粘り強い戦いが得意だが、それが仇になる事も。怪獣界に鳴り響くサッカー名手で、イカルスと国際親善試合を興じた。
セブンの「宇宙陰陽の構え」を真似たこともあるが、実況に「ちょっとラジオ体操的です」と言われてしまっている。
また、自らに仁義を切るイカルスに対しそれすら省みず攻撃を仕掛ける狼藉ぶりを見せる。

キーラー

物欲&自己顕示欲旺盛のひょうきんでおせっかいなお調子者。
時に雪山でゴーゴーダンスしたり、自分の名前や不意に飛んできた三度笠に異常な執着を見せる。殴られても蹴られても、取り憑かれたようにリンゴを食べたりする。
戦いの時にはトンカチや刀、斧を愛用する(特に刀を手に見せる居合いの技は、他の怪獣を寄せ付けない)。
「怪獣道とは、生きることと見つけたり」という言葉を残す。 好奇心が強く、セブンと三度笠を取り合って泥仕合を演じた。ゴーロンとは旧知の仲である。

ゴーロン

掘り出し物集めが大好きな「山師」の異名を持つお宝ハンターで、相手を詐術にかける香具師。
執念深い戦い方が特徴で、仏教徒(クリスチャンのイカルスと信教の違いから「倒したセブンの葬送の際に合掌するか十字を切るか」で争ったが、息を吹き返したセブンにイカルス共々倒される)。他の怪獣よりもやや頭がよく、悪知恵を生かしてずる賢い戦法で挑む(他者が戦っている最後に割り込んで勝利したり、セブンを闇討ちにしようと画策したりする)。キーラーとは旧知の間柄だが、その関係は脆い。

ゴモラ

おまけエピソード「怪獣死体置場」に一度だけ登場。
戦いを終えた怪獣たちの亡骸が眠る「怪獣死体置場」(円谷プロの着ぐるみ倉庫)で突如蘇生し、同じく突如蘇ったウーと戦う。勝利した後、幻のように消える。