11月中旬、福岡県立美術館で2つの展示を見てきました。

そのうちの片方「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」

展示される作品の大半が日本初公開という貴重な機会に巡り会えました。

コレクションには多くの画家が名を連ねており、画題は様々でしたが、作品の傾向は落ち着きのある穏やかなものが多いと感じました。

海運王と呼ばれるほどの成功者は多忙な日々を送ったことでしょう。そうなれば、心安らぐひとときを大切にしたい気持ちは人一倍強かったのかもしれません。

時を同じくして、芸術家たちが都会を離れ地方に移り住むというムーブメントが起こりました。

移住先で彼らが絵の題材にしたものは、農村、庭園、草原、山、空、海、そこで暮らす人々・・・しかもその絵が都会で人気だったのだそうです。

産業が発展して生活が豊かになる一方、日々の忙しさに追われる都会の人々。そして深刻な大気汚染。人間が無い物ねだりをするのも世の常です。都会の生活に飽きた人々は田舎暮らしに夢を馳せたのでしょう。

それから100年以上経過した現代日本でも、都市生活への疲弊感、豊かさへの疑念そして再考、農薬や遺伝子組み換え食品への危機感、田舎への憧れ、実際に地方へ移住する人々、やがて辺境に乱立するおしゃれなカフェ、それを逆輸入する都会・・・

スローライフという造語にまつわる一連の流れと、かつてヨーロッパで起きた出来事との共通点を感じずには居られません。

やがてバレルはコレクションをグラスゴー市に寄贈することになりますが、その条件として美術品を大気汚染から守ることを提示したそうです。汚染の少ない地域に美術館を新設するなど、自治体にとっても大仕事だったとは思いますが、バレルの配慮がなければ美術品は排煙によって汚れていたかもしれないし、化学物質で変質してしまったかもしれません。

時代背景、そしてコレクターと芸術家たちの人生をしみじみと感じさせる良い展示でした。12月9日が最終日です。気になる方はお急ぎください。

 

あともう一つの展示、もう終わってしまいましたが「鹿児島寿蔵の人魚と短歌」

最強の素材を追求する職人魂と、人間を見つめる優しい眼差し。

感服すると同時にほのぼのとする展示でした。

こちらの感想はまた後日にでも。

 

洋と和、絵画と人形(そして短歌)。
ジャンルは全く異なる両者ですが、あふれる情緒は甲乙つけがたいものでした。
また行きますね。

 

就労継続支援A型事業所 株式会社Grow-up 利用者 T.K