幼いころ、私は官僚になりたかった。なんとなく偉い人になりたかった。

幼さ故の無垢と万能感で、自分にはそれができると思い込んでいた。

中高で現実を見るようになった。勉強はそれなりにできたが、それだけだった。

自分には価値がないと思うようになった。なぜ自分は人と違うのか。浅い哲学を考えるようになった。

大学に入学し、哲学を専攻することに決めた。社会の役に立たないことがしたかった。音楽にのめりこむようになった。

バンドマンに憧れていた時期もあったが、演奏の才能がまるでなかった。

途中カウンセラーになりたいとも思っていた。同じ悩みを持っている人を助けたかった。

それも無理だと判断するのには時間はそれほどかからなかった。人の気持ちが自分には理解できなかった。

哲学者になるには実力も頭も不足しすぎていた。そうして大学を卒業した後も夢を諦めてきた。

今もまだ夢はあるけど、また失敗するのかなぁ。

就労継続支援A型事業所(株)Grow-up 利用者N.R